小説 田舎の蛙(完)

こんにちは、mizuです。いつもお疲れさまです。


以前に書いておりました「田舎の蛙」の続きを執筆し、ついに完成させました。文量は前半部と同じくらいです。


以下にお書き申し上げます。


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台所で女房のお絹が夕食の支度をしている。今晩は忙しくなりそうである。つい先ほど近所の酒屋へ酒を買いに出かけて、ただいま戻ってきたところだ。これから家族に食べさせるための夕食を作り、そのあとにお武家様へ振る舞う馳走を準備する。空はまだ明るく、彼らがお酒を飲みに来るまでにはまだ時間がある。ほんとうに迷惑なことだが、お武家様の方でも心得ていて、1つの家に集中して飲みに寄ることはない。


「酒は用意してあるな」モキチは言った。「ええ、ただいまご用意したところです」決して良い酒ではない。自分たちが普段家で飲むようなものだ。外はすっかり暗くなり、涼しさの中で蛙が叫び声を出す。「百姓め」「お武家様」「お殿様」「お代官様」そして「お主も、悪よのう」。次には「お代官様ほどではございません」と彼らは自由に言葉を叫び合う。


言付けどおりにお武家様はモキチ家を訪れる。予告してあったようにお供を連れている。お供が2人で、合わせて3人だ。モキチはお武家様らを応接間へお通しし、じじいのジンベエはもうお休みになっているがゆえにご用があるなら自分に申し付けくださるようお願いした。彼らの目の前には既にお酒が準備されてある。これからすぐに女房が続々と肴を運んでくる手筈となっている。


酒が進み、場は明るくなる。それぞれの家のことを一通りのご挨拶と共に話してしまうと、話は本題に入る。「お上の命令でな、お主のところの息子に新しく仕事をさせようということになった。これに関して他の者から何か聞いておるか」つまり奉行に出せということである。一家に子がたくさんいれば、跡継ぎ以外はみな外に出ることになる。次男はもう体格が大人になりつつある。ジンベイは、息子らも大きくなったからな、と心の中で呟いた。


武家様らがお帰りになったあとで、女房に次男の奉行のことを伝えると、あらまあ、という返事があった。とはいえ、急な話ではなく相手方のお家に迎えられるまでにはまだ時間がある。せっかく今まで育ててきた息子であり、ずっと一緒に暮らしてきたがゆえに離れ離れになるのは寂しい。


外では星空の下で蛙が泣き叫んでいる。「お主も、悪よのう」「お代官様ほどではございません」。「お絹さんは辛かろうね」「しかし家に跡継ぎは1人いれば足りるよ」。彼らは語り合うのだった。(完)

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本作品はこれにて完結となります。本当はもっと長いストーリーを書くことができればよいのかもしれませんが、今の私にはこれくらいが丁度のようです。本業の作家さんならもっとすらすらと長文を書くことができるのだろうなと、羨しく思いながら作業を進めました。


以上。mizuでした。