小説 花と蜂(下)

こんにちは、mizuです。いつもお疲れさまです。


前回の続きをアップロードいたします。書いておりまして、これはまずいことになったと後になって気がつくことがございます。本作品のような短編でも困ることがあるのですから長編になればさらに書くのが難しくなるはずです。推理小説などを書く方々は本当に苦労されておられるだろう、と改めて思ってしまいます。いつか、推理小説とはいわず、ミステリー小説を書きたいとも思っております。


では、以下にお書き申し上げます。


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「私のところにはね、あなたばっかりじゃなくて、小さな蟻さんたちや羽虫さんも集まるのよ。それにね、」と洋子さんが続きを話そうとしたときに、そばへ人間が通りかかる。百姓だ。そして、じじいである。百姓は花に気づかず、蜂と共に花を踏みつけた。黄色の花びらが地面に押しつけられる。


ヘルプ、ミー! 蜂は大声で叫んだ。


ブーン、ブーン。仲間の蜂がかけつける。「やあ、トム、また洋子さんのところかい。勘弁してくれよ。去年も同じ場所だったじゃないか。俺たちはね、もう子どもじゃないんだから、トムもいい加減にヘルプっていう言葉の意味くらいわかってよ。」


ブーン、ブーン、ブーン。仲間たちが続々とやってくる。1番目にやってきた蜂はみんなに事情を伝える。「そんなもんで攻撃したら百姓がかわいそうだよ。」「トム。ヘルプ、ミー! は1年に1匹1回までだからな。」仲間たちはそれぞれトムに対して説教をしてすぐに去っていった。トムはそのままじっとしている。百姓の姿はどこにも見えない。これから探しに行こうとしても無駄である。洋子さんはすっかり元の姿に戻っている。人にたった1度踏まれたくらいでは平気なのだ。花はいつもより優しい言葉をトムに聞かせる。トムはすっかり元気になる。「また来るよ。」蜂は花に別れの挨拶をしてその場を去った。


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ある春の出来事であった。トムと洋子はスターバックスで一緒にコーヒーを飲んでいる。これから映画館へ行くことになっている。まだ上映開始まで時間があるので、2人してまったりしている。ツナのサンドイッチとアップルパイを注文し、食べている最中である。


クレープが食べたいな、とトムは思った。チラリと洋子の顔を見る。不細工だ。スマホなどで芸能人の画像を見た後に彼女を見ると、同じ女かと思ってしまうくらいである。家事はほとんどできないといってよいくらいで、トムの大好きなチャーハンをいくら一所懸命になって教えても上手く作れるようにならない。大学を卒業して社会人になってからもずっと実家で生活しており、すべての家事は母親がやってくれるという。しかし、かまうことなくトムは洋子と交際し続けている。2人とも独身である。


トムは食べかけのアップルパイを手に持ちながら、クレープを食べたいのだけれどこの後に寄り道してよいかということを彼女に尋ねた。いいよ、という返事が返ってくる。


2人が出会ったのは学生の頃である。市営プールの監視員のアルバイトをしているときに知り合った。洋子のほうがトムより1年ほど先に採用されており、出勤日の関係上、洋子がトムにつきっきりで仕事を教えることになった。彼女はみんなから「トム担当」と言われて冷やかされるくらいであった。トムが業務を覚えながら思ったのは、彼女の仕事ぶりはどちらかというと丁寧なのではないか、ということだった。そしてすぐに洋子を尊敬するようになった。見た目は少しも華やかではないが、行動や発言に健全さを感じるのである。


2人は映画を見た数年後に子どもを授かり、いつまでも一緒に暮らすことになる。

 

(完)

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以上。mizuでした。